「目標は兄です。いつも背中を追いかけています。常に自分の一歩先を行く存在です」
そう語るのは、仙台大学の新チームで主将を務める辻本倫太郎選手だ。仙台大学は部員200名を超えており、仙台六大学野球連盟の中の強豪校の1つ。WBCで日本代表にも選ばれている宇田川優希選手の出身校でもある。
「兄とは週3、4回連絡をとっていますね。野球の話だったり、プライベートの話だったり。バッティングの動画を見てもらってアドバイスをもらうこともあります」
辻本選手の兄は現在NTT西日本でキャッチャーを務める辻本勇樹選手。北海高校、仙台大学出身であり、辻本選手は兄と同じ道を選んできた。そして昨年には、大学生の侍ジャパンに選出され、ハーレムベースボールウィークに出場し、ファン投票によるМPP(最も印象に残った選手)に選出。ドラフト候補と呼ばれる存在になった。
侍ジャパンでの経験については次のように教えてくれた。
「色々なタイプの選手がいるなと思いました。打撃を得意としていたり、守備を得意としていたり。その中で自分も守備を売りにしてプレーすることができました。宗山選手がショートに入っていたので、自分はサードに入りましたが、同じショートとして心強かったです」
また、そこで得たものについても教えてくれた。
「野球に対する取り組み方がとても勉強になりました。自分の実力に対しておごり高ぶることなく、真摯に野球に取り組む姿勢ですね」
その姿勢はチームの目標を尋ねた時にうかがうことができた。
「春夏を通じて負けないチームにしたいです。目標は明確に目指せるものがよくて。昨年までのチームは日本一を目標にしていたのですが、日本一というものを経験したメンバーのいないチームなので、春のリーグの目標が日本一でふさわしいかを考えるようにしています。個人的には全国でまずは1つ勝つという思いが強くあります。そこに向かってチームの気持ちを意思統一していきたいです。1年生から4年生まで気持ちが1つになれるような声かけだったりミーティングを行っていきたいです」
部員200名越え、4年間同じ場所で練習をすることがない人もいるという環境で主将を務め、チームを1つにまとめることは容易なことではない。辻本選手はそのような中で冷静に状況を判断し、目標を立て、そこに向かって進んでいる。
もちろん個人の目標はNPB入り。仙台大学の野手で支配下でドラフト指名を受けた選手はまだいない。
「広い守備範囲が売りなので、アグレッシブなプレーを見てもらいたいです。誰もがヒットだなと思うようなボールを取ってアウトにしたいです。打撃は、体格は小さいですが長打力をテーマにしています。小柄でもパンチ力があるというところを見て欲しいです。走塁も武器にしていなかったのですが、支配下指名を受けるためには必要なことだと思っています。」
ドラフト候補と言われるだけあって、注目度は高い。他校からのマークももちろんあるだろう。そこでどれだけ実力を発揮しアピールしていくことができるか。その姿に今後も注目していきたい。
2001年8月11日生まれ(21歳)
内野手・右投右打
北海高校から仙台大学へ進学。
昨年は大学生の侍ジャパンに選出。
今シーズンは仙台大学の主将を務める。